セブからカミギンへ
以前からずっと気になっていた島、『カミギン』。ボホール島とミンダナオ島の間にあるとても小さな島だ。
セブから飛行機でカミギンへ。セブ市内からマクタン空港までは、北バスターミナルから出ている『マイバス』を利用。朝6時から運行しており、たった50ペソで空港まで移動できてとても便利だ。


飛行機はセブパシフィック航空を利用した。今回は往復5,200ペソほど。なぜかテンションが上がる小型プロペラ機だ!セブを飛び立ち、ボホールの上空を通ってカミギンへ。寝る間もなく55分で到着(笑)。近い。



カミギンをバイクで1周、の前の腹ごしらえ
カミギン空港に到着後、あらかじめ予約してあったバイクレンタル屋に電話し合流。今回は3泊の日程のため、3日間借りることにした。値段は1日300ペソ。以前ボホールで3日間レンタルしたときは1000ペソだったので、島レンタバイクの相場といったところだろうか。カミギンはゆるゆる(笑)で、免許証の提示も求められず、住所も聞かれず、保証金も要求されなかった(笑)。フィリピンのレンタバイクは最初ガソリンがほぼ空の状態なので、まず給油しなければならない。満タンの給油で200ペソ。
バイクをゲットしたところで、さっそく島1周のスタートだ!
とはいえ、早朝のフライトだったため朝から何も食べておらず、食欲を満たさねばこれ以上は進めない…。というわけで、地元のカレンデリアで朝兼昼ご飯をいただくことにした。


ちなみに、『カレンデリア』というのは、フィリピン版おばんざい屋と言ったらいいだろうか。カウンターに色々なおかずが並び、食べたいものを皿に盛ってもらうシステム。お持ち帰りもできる。(フィリピンでは汁物だろうが何だろうが基本すべてビニール袋に入れてくれる(笑))野菜のおかずは格安で20ペソ前後、肉や魚が入ると値段が倍ほどになる。
今回行ったカレンデリアは『3マッチョズ』。店のオーナーに名前の由来を聞いたら、マッチョな息子さんが3人いるからとのこと(笑)。下の写真左上から時計回りに、イカの煮物、鶏肉とジャックフルーツの種のココナッツ煮込み、鶏レバーの煮物、魚のココナッツ煮つけ。更にご飯を2杯たのんで200ペソほど。どれもおいしかったが、特に鶏肉とジャックフルーツの種の煮込みが絶品だった。フィリピンにはココナッツミルクで煮てある料理がたくさんある。レモングラスやしょうがと一緒に煮込まれたそれは香りもよく、ほんのり甘いココナッツミルクと塩気が食欲を誘うのである。

腹もふくれたので、さあ、島1周
特に目的地はなく、とりあえず1周してみる。
天気にも恵まれ、眼下には青い海が広がっている。片方には海、もう片方には山々がそびえ立ち右に左に目を奪われる。カミギンは7つの火山があるそうで、ところどころ噴煙だろうか、立ち上る煙が見える。山を背後にいただいた田んぼの景色が実に絵になる。カミギンに来て驚いたのは、ココナッツの木が異様に高いことだ!セブのそれよりすくすくと育っているように見うけられる。バイクで周遊している途中、ココナッツの葉を道幅いっぱいに寝かせた道路封鎖に遭遇。脇には少年が立っている。何事かと前方上方を見上げてみると、小学生くらいの子どもたちがココナッツの木に登り、次々と道路にその実を落としている。ココナッツの葉で作られた即席コーンも設置されており、安全対策にも抜かりがない。いやはや、たくましい子どもたちだ。



海上の十字架、『サンキンセメタリー(Sunken Cemetery)』
しばらくすると、海上に立つ十字架が見えてきた。カミギンの観光スポットのひとつ、『サンキン・セメタリー(Sunken Cemetery)』だ。私の浅い知識では、昔の噴火で海に沈んでしまった墓地の代わりに建てられたそうだ。十字架までは船でアクセスできるほか、ガイドを付けたシュノーケリングも可能だそうだ。時間があればシュノーケリングもやってみたいが、今日はとりあえず観光だけ。

南へ南へとバイクを走らせると、海の向こうに大きな島の影が見えてきた。ミンダナオ島だ! 近い! 思っていたよりずっと近い! ミンダナオはフィリピンの南にある巨大な島だ。カカオやコーヒーの産地で、コーヒー好きの私としてはいつか農場に赴きたいと思っている。
もう一つ、ミンダナオと言えば、飛行機持ち込み禁止で有名な臭いを放つ『ドリアン』だ。私はドリアンは全然大丈夫(笑)。一度、ミンダナオ出身の会社の同僚から、ご両親がセブ訪問の際に持ってきたという新鮮なドリアンをいただいた。新鮮なドリアンの『におい』は『臭い』ではなく『匂い』と表記するに値する。全く嫌な『におい』ではなく、甘く熟した芳醇な香りと、ねっとりとした食感に『ドリアン=臭い』の悪いイメージは完全に払しょくされたのであった。
カミギンでマグロを食べる
さて、カミギンについて調べていると、『マグロ』の文字がちょいちょい登場する。カミギンはマグロが有名なのか!?これは食さねば!
というわけで、マグロのバーベキューが食べられるレストランに行ってみることにした。

さっそく、マグロのバーベキュー1キロ(キロ単位でしか出してくれないため…)、マグロのシシグを注文。ちなみに『シシグ』とはフィリピンの鉄板料理で、細かく刻んだ肉をニンニクと唐辛子酢で炒めたもの。よく目にするのは豚肉のシシグだ。ピリ辛の味付けが食欲をそそる。
フィリピンのレストランでは気長に待つことだ。なにせ時間がかかる(笑)。明日の予定をたてたり、今晩の夕飯について思考を巡らせたりしながら、大方の予定がたったころにようやくマグロのご登場!


正直な感想。1キロ、意外と小さい…(笑)。食べきれるか心配していたが、これなら余裕。フォークとナイフで骨から身をはがす。肉汁ならぬ魚汁がしたたるようなぷりぷりっとした感じ。じっくりあぶられた表面はかりっと香ばしく仕上がっている。うまい。全くぱさぱさしていない。肉のような噛み応え。フィリピン料理のお供と言ってもよい『酢』がテーブルに常備されている。フィリピン人は肉や魚にやたら酢をかけて食べる。海ではとりたての『うに』を売り歩くフィリピン人をよく目にするが、うににも酢をかける。私も『うに』+『酢』のマリアージュを試したが、残念ながら祝福する気にはなれなかった(笑)。それでも、奇跡のマリアージュを期待して『マグロ』+『酢』をためす。そして、やはり私は日本人舌なのだと実感する…。
マグロのシシグも豚肉のそれよりさっぱりしていてうまい。ライスを追加で注文。全部平らげた。
カミギンで夕飯を仕入れる
私は旅において慌ただしくあっちこっち見て回るのは好きではない。ホテルではチェックインからチェックアウトの時間ギリギリまで、コーヒーをお供に景色を眺め、夕焼けの時間からはビールやウイスキーを傍らに、夜の涼しさに心地よさを感じながら星を探す。そして早朝夜明け前に起床し、やはりコーヒーを淹れて朝焼けを期待しながら夜明けを待つのが常である。
カミギンをのんびり走るうちに、時間ははや午後1時近く。ホテルのチェックインは2時からなので、これは急がねば!しかし、今晩のご飯を買って帰らなければならない。というのも、今回のホテル、海を見渡せる崖の上にたたずんでおり、そのホテルの中でも一番のオーシャンビューの部屋をとってある。夕日の沈む海を眺めながらカミギンの幸とビールで今日をしめるのだ!
急に頭の中のタイマーが作動し出す。まず、カミギンにたった一つあるモール『ガイサノ』でビールをゲット。その後、さっきマグロレストランを調べた際にヒットした違う店によってマグロ料理を購入し、足りない分は午前中にお世話になったカレンデリアで補う。急げ!
ホテルでカミギンの幸をいただく
無事買い物を済ませ、ホテルにチェックインし、シャワーを浴びて夕飯のセッティングだ。




『ガイサノ』によって、フィリピンのビール『サンミゲル』とその黒ビールをゲット。その後マグロのたたきが評判のレストランでそれをゲット。その名もまんま『Tuna Tataki(ツナたたき)』だった(笑)。まだ腹を満たすには不十分であるため、朝のカレンデリアに寄ってナスのオムレツ、ナスのサラダ等おいしそうなものをゲット。そしてカレンデリアの奥さんの妹さんが道路脇で焼いていたマグロの丸焼きをゲット。
さあ、準備はそろったぞ!

マグロのたたきは胡麻油の風味がする。フィリピンではあまり新鮮な生魚をいただけないため、テンションも爆上がり。日本のたたきというより、カルパッチョに近いイメージ。正直醤油がほしかった(笑)。続いてマグロの丸焼き。『魚を焼く』という概念もフィリピンではあまり出会えない。魚はだいたい揚げられている。揚げ物大好きフィリピーノ(フィリピン人)。たまに煮魚を見かけるが、丸っと1匹焼いたのは珍しい。当然かぶりつく。うまい!昼食べたマグロは身がぷりぷり、こちらの小ぶりのマグロはホクホクだ。カレンデリアのおばちゃんに「マグロ料理はないの?」って聞いて良かった。まさか妹さんが徒歩5メートルの路上でマグロを焼いてるとは(笑)!マグロの紹介で遅れたが、カレンデリアの料理も美味。どれもこれもビールと相性抜群だ。
先ほども申し上げた通り、私は旅において慌ただしくあっちこっち見て回るのは好きではない。ホテルではチェックインからチェックアウトの時間ギリギリまで、コーヒーをお供に景色を眺め、夕焼けの時間からはビールやウイスキーを傍らに、夜の涼しさに心地よさを感じながら星を探す。そして早朝夜明け前に起床し、やはりコーヒーを淹れて朝焼けを期待しながら夜明けを待つのが常である。
旨いものを、箸を休ませながらゆっくり楽しむ。傍らには旨い酒。目の前には刻々と色を変えていく空と海。これはカミギンまた来ちゃうな、と1日目にして早くも思う。





【小さな秘境の島、『カミギン(Camiguin)』へ! 2日目】へ続く…。